占星術を知らない人でも、ここ数年で「風の時代」という言葉を耳にしたことがあるのではないでしょうか。西洋占星術では 12 星座を 火、地、風、水 の 4 つの性質 (エレメント)に分けます。
太陽系の惑星である木星と土星は、約 20 年に一度、同じ星座で接近します。この現象をグレートコンジャンクションと呼び、約 180 年から 200 年の周期で火地風水のエレメントを移動していきます。
1802 年頃から、グレートコンジャンクションは地の星座 (牡牛座、乙女座、山羊座)で起こっていました(詳細に言うと 1981 年に一度、風の星座である天秤座に入っていました)。 しかし、2020 年 12 月 22 日に水瓶座で起こったグレートコンジャンクションを機に、今後約 200 年は、木星と土星の会合は風の星座で起こります。このエレメントの切り替わりをミューテーションと言い、風の時代というネーミングはここからきています。
地の時代から風の時代へ切り替わるとどうなるのでしょう?どのミューテーションでも絵の具のグラデーションのように、段階を経ながら次のエレメントに移動します。
地の星座の時代では、物質的面での安泰、組織体制や権威、分かりやすい社会での成功が重視されていた時代でした。地の星座は安定、基盤、堅実などを表すので、経済面では世界は大きく発展しました。お金をたくさん稼いで、土地を所有して、大きな家を買って、高級車に乗って、安定した仕事について….こういった目に見える現実的、物質的な成功は反面、経済格差や貧富の差にも繋がってきたはずです。また「これが正解である」といった権威の声や主張が強く、新しい考え方や革新的な動きを取ろうとする人にとっては、古い価値観と新しい価値観の間でのせめぎ合いを経験してきたでしょう。
風の時代が象徴するのは、情報、知識、思考といった、一見目には見えないものです。SNS の日常への浸透からも言えるように、今後は情報や知性をもとに様々な人と対等につながる社会といえます。インターネットやパソコンが世に普及し始めたのも 1981 年の風の星座でのグレートコンジャンクション頃からであり、これはまさに風の時代のプレビューであり、お試し期間だったともいえます。
また、個人的な自由、多様性、平等性が認められる時代でもあるので、それぞれの意見が違っていても地の時代の頃のように、権威が民衆を抑えつけるといったコントロールは効かなくなります。風の時代から見ると地の価値観は古臭く通用しない考え方になるともいえますね。
2020 年 12 月に水瓶座で起こったグレートコンジャンクションは「人との距離感」を表します。新型コロナウイルスの発生はまさに人との距離感がテーマであり、密を避け、距離感を持って人と接することが重要だと知らされました。また、オフィスで実際に顔を合わせずともオンラインで会議をしたり、どの場所にいてもパソコンとインターネットがあれば、いわゆるオフィスワークと言われているほとんどの仕事がこなせるということが分かりました。まるで天の意志みたいなものが働いているんじゃないかと思うくらい鳥肌の立つタイミングですよね。
今までの時代では到底考えもしなかったようなことがこれからは当たり前のように実現していきますが、風の時代を生きるにあたって一つ忘れてはならないことがあります。情報や知識が溢れかえる中、実際それは自分にとってどんな意味を持つことなのかをきちんと取捨選択することがとても大切です。個人の力が台頭してくるということは、私たち一人一人が何を信じて行動をするかが大きな意味を持つということです。友人がこう言っていたから、会社の方針だからと他の人に判断を仰いだ生き方をしていると、いつの間にか混乱の海の真っ只中にいることになりそうです。自分で考え抜く力と、変化が加速する時代に新しい価値観を受け入れる柔軟性を常に持っていたいものです。