土星の圧が教えてくれるもの

2025 年 5 月 25 日、土星が牡羊座に入りました。土星は 12 星座を約 29.5 年かけて一周し、1星座を通過するのに約 2.4 年ほどかかります。先日まで魚座に滞在していた土星は、一時的な逆行期間を経ながら 2028 年 4 月まで牡羊座を運行していくことになります。

土星のキーワードは制限、抑圧、現実、構造、権威、試練、収縮、悲観、規律、組織、などなど、皆さんができればあまり深く考えずに通過していきたいと思ったり、苦手意識を持つことも多いのではないでしょうか。

土星というのは現実をどこまでも突きつけます。あるシンガーソングライターがいるとします。この人は低音の音域が得意分野であったため、どうしても作曲に偏りが出ていました。それでもある程度の層の人気は獲得できていたので、この人は同じような曲調の歌をリリースすることにためらいは持っていませんでした。さて、この人のホロスコープ上の太陽に運行中の土星が近づいて来ました。土星はその人が今まで培ってきたものを細かく検分し、必要なことに対しては訓練を促し、必要でないものは縮小させるという性質を持っています。それまで順調に売れていた曲に世間もそろそろ飽きてきたのか、売り上げにも翳りが見えてきました。今まで難なく湧いてきた創作意欲もここ最近落ち気味でまったくアイディアが浮かんで来なくなってしまったのです。

土星は一番苦手な部分を突いてくるので、この人がそろそろ創作の幅を広げる時期に差し掛かっており、できること、できないことが土星によってはっきり見えてくる時期でもあります。「同じ曲調ばかりの歌で本当に良いのか?」「もっと音域が出るようなスキルを習得した方がいいのではないか?」「このままでは固定ファンにも見限られてしまう」など、いわゆる土星の洗礼が始まるわけです。この時期をうやむやにして逃げて過ごしてしまうと、土星の次にやってくる周期で当時残された課題に向き合わされるということも多いのでプレッシャーを感じたり、面倒だなと思ってもきちんと向き合うことが重要です。また、いい加減になんとなくこなしてきた事、確固たる土台がなく続けてきた事があれば土星のジャッジが入り、これ以上続けられないというような出来事が起こる可能性もあります。

そこまで極端な出方をしないまでも自分のできること、できないことが良くも悪くも
はっきりと見えてくるのが土星の特徴です。さて、この人は地道にトレーニングを重ね、苦手意識のあった高音を上手く出せるような作曲に取り組み始めました。また作詞の言葉に深みを持たせるためにも毎日さまざまなジャンルの本を読むことにしました。本業を続けながらこういった取り組みを行うことは確固たる自律が必要でしたが、コツコツと数年間継続した結果、この人の出す音域の広さに新たなファン層が増え、その独創的な歌詞は多くのファンを魅了することになりました。自分自身のエゴに向き合い、社会からの要求に応えた結果、新たな力を獲得することになった土星の良い使い方の一例です。

このように、土星の影響というのはごまかしが効かない分なかなか厳しいものですが、土星から課されるタスクから逃げずに真摯に向き合い、取り組んだ暁には必ず報酬がもたらされます。必ずしも悪いことばかりではなく、土星は物事を固まらせる、責任感を持つという意味もあるので、土星が自身のホロスコープに影響する時期に結婚や出産、昇進などを経験する人も多いでしょう。夫婦として社会に向き合う時期、親としての責任を持つ時期、仕事での責任が増える時期とも取れるのです。

土星が影響している時期というのは体に重い石が載せられたような感覚になりますが、それが過ぎ去った後は山頂に登ったような清々しい気持ちになります。海王星などは、その影響が過ぎた後「あれはなんだったのだろうか」という曖昧な感覚を覚えることも多いですが、土星は努力を重ねた分、しっかりと形ある報酬を与えてくれますので決して裏切ることのない天体ともいえるでしょう。

☆アメリカ在住の西洋占星術の研究家のキャサリンのホロスコープリーディング