背水の陣と言う言葉を耳にすることがあります。もう一歩も後に引けない状態に身を置き、決死の覚悟で立ち向かうさまを言います。

昔、中国前漢の時代、武将の韓信は、自らの少数の軍が趙の国の大軍に攻められ戦った際、自軍の兵隊をもう一歩も後にひけない川を背に陣を敷き、決死の覚悟で戦い、奇跡的な大勝利を収めたことが今も語り継がれています。人はこういう後一歩も引けないという追い詰められた状況に置かれた時、常識では考えられないとんでもない力を発揮することが出来るのです。

私たちも日常生活の中で、この「背水の陣」に身を置くことを利用しない手はありません。

会社を辞めたいんだけど、次に何をするのか決まっていないし、今の収入が無くなったらその先どうして生きて行けばいいのかわからないので、ズルズルと退職できずにいるという悩みを聞くことがあります。

ぬるま湯に浸かった状態で知恵を絞ってもそう簡単に名案は浮かびません。しかし、退職願を上司にたたきつけフリーの身になったならその日から状況は激変します。

他人事だと思って無責任なことを言ってるんじゃなくて、私も身を持って行動に移した体験者なのです。若い頃、訳あっていきなり勤め先を退職しましたが働き先も無く、次の日から完全に無収入になったリアル体験をしています。まだ子供はいなかったけど、妻と二人でその後どうして生きて行けばいいのかは緊急を要する問題でした。

しかいざそうなってしまえば人って強いのです。この先どうしようという不安よりも、なりふり構わず「何とかしなきゃどうにもならない」という爆発的なエネルギーの塊になって心当たりを夢中になって駆けずり回りその場を切り抜けた思い出があります。

離婚したいけど離婚後の生活や収入が不安だと行動をためらうケースも同様ではないでしょうか。踏ん切りがつかずためらっている内はこの先もためらい続けることになるでしょう。勇気を出してバシンと行動に移してしまえばきっとなんとかなる。つまり、背水の陣の状態に自ら飛び込むことで、まさかの底力を発揮することになるのです。

逆から言うなら、不安だからと言って背水の陣に飛び込む覚悟が出来なければ惨めな敗北が待っているだけです。誰もあなたを助けてくれません。信頼できるのは自分だけ！

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